みなさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。さて新年最初の特派員報告は、1月3日の「グリーンアリーナ ニューイヤーイベント」です。お客さんも多く来られ、年初めから大賑わいのイベントでした。それでは報告です。
まずは中川戸神楽団「土蜘蛛」。源頼光の命を狙った葛城山の土蜘蛛ですが、逆に返り討ちに遭い、果てには四天王らによって退治されます。新舞の中でも人気の演目ですが、今回の上演で印象的だったのが、奏楽のみなさん。後に紹介もありましたが、高校生から二十歳という顔ぶれで、とってもフレッシュな印象でした。先輩方の舞を一生懸命盛り上げようとされてるのが伝わってきましたよ。神楽の醍醐味の一つである、舞と楽との一体感がしっかりと感じられました。
次は大塚神楽団「倭建命」。悲劇の英雄、ヤマトタケルの物語…のはずですが、兄ぎしと弟ぎしによる、「新春爆笑トーク」が繰り広げられました(笑)。攻めてくるヤマトタケルに対し、なんとかしようとする兄ぎし、なんだかやる気のない弟ぎし。兄ぎしに「シャンとせぇ!」と渇を入れられ、ようやくカッコよく決めたかと思いきや、「国を捨てて逃げよう」と退場しだす弟ぎし…。保育所からの付き合いだというお二人、息の合ったやり取りで会場を沸かせてくださいました。
次は上河内神楽団「悪狐伝・中編」。悪狐以上の人気を誇る?珍斉和尚さんの登場で、これまた大いに笑わせていただきました。たくさんのネタを披露したかと思えば、なんでもないセリフで噛んだりして、奏楽のみなさんも思わず吹き出してしまったり。もちろん共演者の玉藻前さんにも、いろんなちょっかいを出したりと大活躍。先ほどの大塚さんの上演では若いお二人でしたが、こちらはベテランのチャリの技でまたも大笑いの演目でした。
休憩を挟んだ後は中川戸神楽団「瀧夜叉姫」から始まりました。いつもながら、瀧夜叉姫の見事な変化に思わず見入ってしまいますね。会場からも変化のたびに「おぉ~」というどよめきがありました。もう一つの見どころが手下達との激しい合戦。5人の舞手さんによるその合戦は、まさに息つく暇もないほど。その中で、ヒラヒラと舞う煌びやかな衣装が目に焼きついて、さらに見ている側の興奮をあおってくれます。演出だけでなく、いろいろ見応えたっぷりの上演でした。
続いて大塚神楽団「道成寺」。ここでもチャリ役の船頭さんが登場し、またまた会場を笑いの渦に巻き込んでくださいました。なんでも船頭さんの住まれている大塚地域、今日も雪の降る中を来られたそうで、「街はぬくいね!」を連発。お客さんからビールの差し入れをもらったかと思えば、「つまみはないん?」と付け加えてみたり。しかしそんな船頭さんにも想定外の出来事が!安珍さんを乗せて船渡しの最中、なんと船が二つに分かれてしまうのです(笑)。ストーリー上、絶対に起こるはずのない珍事に、会場のみなさんも大笑いでした。
最後は上河内神楽団「紅葉狩」。人気演目であり、新舞の魅力がたくさん詰め込まれていますね。鬼女たちの華やかな舞はゆったりとして、物語の始まりを強調します。物語が進むにつれ、段々と舞が変化していきます。そして奏楽も重要な要素。特に場面と場面をつなぐわずかな間などは、奏楽の持っていき方で随分と印象が変わるのではないでしょうか。最後はエネルギーを全て出し切るかのような合戦。舞も楽も、限界までスピードアップし、見事な伝統の技を見せてくださいました。
さて毎年恒例の新春神楽から、今年も始まりました。どうぞ本年も「神楽のぶろぐ」をよろしくお願いします。
まずは中川戸神楽団「土蜘蛛」。源頼光の命を狙った葛城山の土蜘蛛ですが、逆に返り討ちに遭い、果てには四天王らによって退治されます。新舞の中でも人気の演目ですが、今回の上演で印象的だったのが、奏楽のみなさん。後に紹介もありましたが、高校生から二十歳という顔ぶれで、とってもフレッシュな印象でした。先輩方の舞を一生懸命盛り上げようとされてるのが伝わってきましたよ。神楽の醍醐味の一つである、舞と楽との一体感がしっかりと感じられました。
次は大塚神楽団「倭建命」。悲劇の英雄、ヤマトタケルの物語…のはずですが、兄ぎしと弟ぎしによる、「新春爆笑トーク」が繰り広げられました(笑)。攻めてくるヤマトタケルに対し、なんとかしようとする兄ぎし、なんだかやる気のない弟ぎし。兄ぎしに「シャンとせぇ!」と渇を入れられ、ようやくカッコよく決めたかと思いきや、「国を捨てて逃げよう」と退場しだす弟ぎし…。保育所からの付き合いだというお二人、息の合ったやり取りで会場を沸かせてくださいました。
次は上河内神楽団「悪狐伝・中編」。悪狐以上の人気を誇る?珍斉和尚さんの登場で、これまた大いに笑わせていただきました。たくさんのネタを披露したかと思えば、なんでもないセリフで噛んだりして、奏楽のみなさんも思わず吹き出してしまったり。もちろん共演者の玉藻前さんにも、いろんなちょっかいを出したりと大活躍。先ほどの大塚さんの上演では若いお二人でしたが、こちらはベテランのチャリの技でまたも大笑いの演目でした。
休憩を挟んだ後は中川戸神楽団「瀧夜叉姫」から始まりました。いつもながら、瀧夜叉姫の見事な変化に思わず見入ってしまいますね。会場からも変化のたびに「おぉ~」というどよめきがありました。もう一つの見どころが手下達との激しい合戦。5人の舞手さんによるその合戦は、まさに息つく暇もないほど。その中で、ヒラヒラと舞う煌びやかな衣装が目に焼きついて、さらに見ている側の興奮をあおってくれます。演出だけでなく、いろいろ見応えたっぷりの上演でした。
続いて大塚神楽団「道成寺」。ここでもチャリ役の船頭さんが登場し、またまた会場を笑いの渦に巻き込んでくださいました。なんでも船頭さんの住まれている大塚地域、今日も雪の降る中を来られたそうで、「街はぬくいね!」を連発。お客さんからビールの差し入れをもらったかと思えば、「つまみはないん?」と付け加えてみたり。しかしそんな船頭さんにも想定外の出来事が!安珍さんを乗せて船渡しの最中、なんと船が二つに分かれてしまうのです(笑)。ストーリー上、絶対に起こるはずのない珍事に、会場のみなさんも大笑いでした。
最後は上河内神楽団「紅葉狩」。人気演目であり、新舞の魅力がたくさん詰め込まれていますね。鬼女たちの華やかな舞はゆったりとして、物語の始まりを強調します。物語が進むにつれ、段々と舞が変化していきます。そして奏楽も重要な要素。特に場面と場面をつなぐわずかな間などは、奏楽の持っていき方で随分と印象が変わるのではないでしょうか。最後はエネルギーを全て出し切るかのような合戦。舞も楽も、限界までスピードアップし、見事な伝統の技を見せてくださいました。
さて毎年恒例の新春神楽から、今年も始まりました。どうぞ本年も「神楽のぶろぐ」をよろしくお願いします。
2012,01,03 Tue 20:08
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9月25日は呉市文化ホールで「RCC神楽呉公演」が行われました。上演前に司会の方からお話がありましたが、神楽の呉公演は5年ぶりで、その時もこの会場でした。当時はこの特派員報告もスタートしたばかりだったのですが、会場に着くとその頃を思い出して懐かしかったですね。それでは5演目の報告です。
まずは宮乃木神楽団「神迎え」。4人の舞手が登場し、それぞれ季節や方角などを表して舞います。舞手さんが順に舞殿をめぐる様子も、春から夏へ、夏から秋、そして冬へ…というような見方をすると、この演目ならではの楽しみ方にもなると思います。派手さはないかもしれませんが、演技や演出のない、言わばニュートラルの状態の素朴な舞がしっかりと味わえる上演でした。
続いては中川戸神楽団「瀧夜叉姫」。5年前、この会場で「板蓋宮」を上演された中川戸さん。クライマックスの入鹿の首が宙を舞う場面で、会場が揺れんばかりの大歓声が上がったことをよく覚えていますが、今回はどんな演出を見せてくれるのか、期待されていた方もおられたことでしょう。やはり面の早変わりでは会場が大きく沸きましたね。演出だけでなく、演技や奏楽でさらに場面が盛り上がるように、上手く流れを作っておられたように感じました。
次は宮乃木神楽団「紅葉狩」。見所はやはり変化自在の鬼女たちで、前半の優雅な舞、鬼女になっての激しい舞、そして鬼となっての迫力ある舞。しかし神の舞も見応えありでしたよ。鬼女征伐の勅命を受けた平維茂と相良蔵人の二人。ゆったりとして重みがありながらも、楽にのってリズムよく舞い進んで行く姿に、見ていてとても安定感を覚えました。前半のしっかりした舞を見ているからこそ、後半の激しい合戦がより見応えのあるものになると思います。
次は原田神楽団「土蜘蛛」。こちらも初めから終わりまで見応えのある舞でした。同じ神の舞も、源頼光とその家来である四天王たちの舞ぶりには違いが見られます。また四天王でも、最初の場面と、土蜘蛛を退治に向かう場面では違いがあります。ちょっとしたことですが、神楽がより面白く感じられる要素ですので、ぜひみなさんも注目してみてください。そしてこの演目と言えば、胡蝶が片足で歩く場面が見所。今回は舞台の端から端まで、さらにもう半周するというもので、これには大きな拍手が起こりました。
最後は山王神楽団「八岐大蛇」。さてこれまでは個人の舞や演出に注目してみましたが、この上演で特筆すべきは、舞台の使い方。八匹の大蛇が登場するこの演目ならではの見所です。左右の花道から登場する大蛇たちに、客席からはどよめきも。舞台いっぱいに暴れる大蛇の迫力に圧倒されましたね。その中でいわゆる舞殿のスペースにとらわれない、自由な空間の使い方で、真ん中だけでなくサイドにも上手く見せ場を展開されていたように見えました。大蛇を得意とされ、なおかつホールでの上演に慣れている山王さんならではの上演だったように思います。
以上5演目の紹介でした。さていよいよ本格的な神楽シーズンの到来ですね。みなさんしっかり楽しんでください!
まずは宮乃木神楽団「神迎え」。4人の舞手が登場し、それぞれ季節や方角などを表して舞います。舞手さんが順に舞殿をめぐる様子も、春から夏へ、夏から秋、そして冬へ…というような見方をすると、この演目ならではの楽しみ方にもなると思います。派手さはないかもしれませんが、演技や演出のない、言わばニュートラルの状態の素朴な舞がしっかりと味わえる上演でした。
続いては中川戸神楽団「瀧夜叉姫」。5年前、この会場で「板蓋宮」を上演された中川戸さん。クライマックスの入鹿の首が宙を舞う場面で、会場が揺れんばかりの大歓声が上がったことをよく覚えていますが、今回はどんな演出を見せてくれるのか、期待されていた方もおられたことでしょう。やはり面の早変わりでは会場が大きく沸きましたね。演出だけでなく、演技や奏楽でさらに場面が盛り上がるように、上手く流れを作っておられたように感じました。
次は宮乃木神楽団「紅葉狩」。見所はやはり変化自在の鬼女たちで、前半の優雅な舞、鬼女になっての激しい舞、そして鬼となっての迫力ある舞。しかし神の舞も見応えありでしたよ。鬼女征伐の勅命を受けた平維茂と相良蔵人の二人。ゆったりとして重みがありながらも、楽にのってリズムよく舞い進んで行く姿に、見ていてとても安定感を覚えました。前半のしっかりした舞を見ているからこそ、後半の激しい合戦がより見応えのあるものになると思います。
次は原田神楽団「土蜘蛛」。こちらも初めから終わりまで見応えのある舞でした。同じ神の舞も、源頼光とその家来である四天王たちの舞ぶりには違いが見られます。また四天王でも、最初の場面と、土蜘蛛を退治に向かう場面では違いがあります。ちょっとしたことですが、神楽がより面白く感じられる要素ですので、ぜひみなさんも注目してみてください。そしてこの演目と言えば、胡蝶が片足で歩く場面が見所。今回は舞台の端から端まで、さらにもう半周するというもので、これには大きな拍手が起こりました。
最後は山王神楽団「八岐大蛇」。さてこれまでは個人の舞や演出に注目してみましたが、この上演で特筆すべきは、舞台の使い方。八匹の大蛇が登場するこの演目ならではの見所です。左右の花道から登場する大蛇たちに、客席からはどよめきも。舞台いっぱいに暴れる大蛇の迫力に圧倒されましたね。その中でいわゆる舞殿のスペースにとらわれない、自由な空間の使い方で、真ん中だけでなくサイドにも上手く見せ場を展開されていたように見えました。大蛇を得意とされ、なおかつホールでの上演に慣れている山王さんならではの上演だったように思います。
以上5演目の紹介でした。さていよいよ本格的な神楽シーズンの到来ですね。みなさんしっかり楽しんでください!
2011,09,26 Mon 19:34
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がんば
| ゆっちー | EMAIL | URL | 11/10/27 22:21 | mZq6GGkM |
神楽すきです
| ゆっちー | EMAIL | URL | 11/10/27 21:59 | mZq6GGkM |
大塚神楽団「道成寺」は、現在の和歌山県が舞台となる演目です。恐ろしくも悲しい安珍と清姫の物語は、日高川で一つの大きな見せ場を迎えます。清姫から逃げようとする安珍は、船頭さんに船渡しをお願いするも断られてしまいます。ここのやり取りが、チャリ役の船頭さんによって面白おかしい場面になっており、ファンのみなさんも楽しみにされていたと思います。そして今回の船頭さんは急遽の代役だったそうで、安珍さんもいつも通りとはいかず、普段以上に苦戦されていたようです。終いには自分の来ていた衣装を、渡し賃として取られてしまいました。とっても珍しいものを見せていただきましたね(笑)。そしてその安珍に恋焦がれるあまり、大蛇となってしまった清姫。口から火を吹き、釣鐘ごと安珍を焼き殺してしまう場面はまさに壮絶。その後、我に返った清姫に残された絶望感。胸を締め付けられるような場面ですが、最後に二人が一緒に立つ一幕があり、そこに救いを見られた方も多かったことと思います。
続いて原田神楽団「土蜘蛛」。大和国、今の奈良県にある葛城山が舞台です。当時、大和国を一望できるこの葛城山には、都の勢力に従わない人が多く住みつき、「土蜘蛛」などと呼ばれ忌み嫌われていたそうです。そして神楽では、この土蜘蛛が都の守り、源頼光に襲い掛かります。長年たまった恨みを晴らそうとする、その土蜘蛛の感情が、舞手さんの迫真の演技によってこちらに伝わってきます。一瞬にして鬼の面へと変わり、蜘蛛の妖術で頼光に迫る辺り、なんだか土蜘蛛の方を応援してしまうような気持ちになります。しかし頼光の武勇によって返り討ちに遭い、土蜘蛛は住処の葛城山へと逃げ帰ります。それを追って、四天王の二人が岩屋へ切り込み、遂に最後の戦いが始まりました。もはやこれまでと死に物狂いで暴れる土蜘蛛も、蜘蛛切丸の威徳の前に敗れてしまいます。威勢の良いお囃子もあって、とても盛り上がる上演でした。
最後は中川戸神楽団「紅葉狩」。先ほどの「土蜘蛛」と同じように、鬼になるしかなかった、あるいは鬼にされてしまった人々の思いが込められた物語です。伝説の地を訪ねると、今まで見えてなかったものが見えてくると思います。この上演も見所はたくさんありますが、個人的には中盤の酒宴の場面に注目しました。美女に化けて平維茂らを酒に酔わそうとする紅葉たち。しかしそれを見抜いて酒を飲まなかった維茂。このだまし合いの展開が、見ている側をさらに物語にのめり込ませてくれるように感じます。その中で、舞いながら酒を注いだり、あるいは紅葉の舞を披露したりと、いろんな見所がたくさんあり、本当に豪華な感じがしますね。そして正体を見破られた鬼女たちが鬼に変わる場面、ここで舞と楽が一緒になって一つの頂点を迎えます。この演目ならではの多彩な仕掛けも、みなさんじっくりご覧になったことでしょう。
以上、7演目のご紹介でした。ホール神楽としての魅力はもちろん、さらに神楽について興味を深めることができたイベントだったように感じました。これから夏本番で、暑い日が続きそうですが、どうぞみなさん体調にはじゅうぶん注意されて、神楽を楽しんでください!
2011,07,21 Thu 21:30
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7月17日に広島市のALSOKホールで「RCC神楽スペシャル」が行われました。今年のテーマは「伝説の地を訪ねて」で、昨年同様ステージにスクリーンが設置されました。演目の伝説の地を紹介するVTRや上演中のビデオ映像が流されました。それではご紹介します。
まずは琴庄神楽団「神迎え」からスタート。神楽を上演する前に神様をお迎えしようとするこの演目、見た目には地味かもしれませんが、神楽の面白さがたくさん感じられます。登場するのは四人の舞手さんで、それぞれ緑、赤、白、紫の衣装をまとっています。そしてこの舞手さんがそれぞれ四隅に鎮まると、その頭上には同じ色の天蓋飾りがありました。これは陰陽五行に基づく色分けで、緑は東、赤は南。そして白が西で紫(黒)が北。こうやって舞殿に方角を記したり、あるいは季節を表したりして、神様を迎える態勢を整えます。単なるホールのステージではなく、神様を意識した舞台はみなさんにも神聖に感じられたことと思います。
そして伝説の始まりです。今回の注目、悪狐伝三部作より、まずは神幸神楽団「悪狐伝(前編)」。海を越えてやってきた金毛白面九尾の狐が、玉藻前となって宮中に入りこむも、陰陽師に見破られて、やむなく那須野ヶ原に飛び去るというあらすじ。おそらくファンのみなさんも、この演目をご覧になる機会はそう多くないのではないでしょうか。それだけに珍しい展開にみなさんグイグイ引き込まれたことと思います。大まかなあらすじだけでなく、「そんなこともあったのか!」というような、この演目ならではの見せ場が満載で、とても興味深く見ることができました。中でも中盤に登場した悪狐の衣装!よく見かけるモフモフ感たっぷりの着ぐるみではなく、見たことのないような柄の衣装でした。着ぐるみを見慣れている方は、ちょっと戸惑いを感じられたかもしれませんね。
続いてファンのみなさんにお馴染みの「悪狐伝」は琴庄神楽団による上演。お待ちかねの十念寺の和尚さんに加え、今回も「はっちゃん」が登場して息の合ったコンビネーションを見せてくださいました。この強力タッグの前には、日本三大悪妖怪に数えられる九尾の狐も歯が立たない様子…。まともに取り合ってはもらえません。この場面はいろんなアドリブが炸裂して、ファンのみなさんもさぞかし楽しまれたことでしょう!そんな空気がガラっと変わる後半、玉藻前が正体を現す場面はこの演目の見せ場の一つ。無念さを出しながら、静かな様子からだんだんと怒りに変わる辺りのセリフ、ゾクゾクしてきますね。そして正体を表した悪狐と、三浦介らの合戦。二人の神を相手に、ほぼ休むことなく大立ち回りを舞い切った狐さんに会場は拍手喝采でした。
そして三部作の締め括り、塩瀬神楽団「悪狐伝(最終編)」。三浦介らに退治された狐の怨念が、なんと殺生石という大岩となり、毒を放って災いをなしていました。これを聞いた玄翁(げんのう)和尚という人物が、法華経と法の槌によってこの石を壊し、ついに悪狐は完全に退治されるという物語です。狐も最後ならチャリも最後?ここでは飛脚の飛助(とびすけ)という役が登場し、しっかりと笑わせてくださいました。中でも持っていた弁当で悪狐を手なづけてしまうという芸当はお見事!なんとかサーカスもビックリです(笑)。しかし両者は決別し、とうとう飛助は狐の餌食となってしまうのでした…。後半はまた空気を変えて、玄翁和尚が登場します。これまた派手ではありませんが、法力という目に見えない力を持って、悪狐との最後の戦いに挑みます。実際には「目に見えないもの」はなかなか感じにくいものですが、こういう力は時に私達にとってすごく大事なものになるのかもしれません。
以上、前半の4演目のご紹介でした。「その2」で残りの3演目をご紹介します!
まずは琴庄神楽団「神迎え」からスタート。神楽を上演する前に神様をお迎えしようとするこの演目、見た目には地味かもしれませんが、神楽の面白さがたくさん感じられます。登場するのは四人の舞手さんで、それぞれ緑、赤、白、紫の衣装をまとっています。そしてこの舞手さんがそれぞれ四隅に鎮まると、その頭上には同じ色の天蓋飾りがありました。これは陰陽五行に基づく色分けで、緑は東、赤は南。そして白が西で紫(黒)が北。こうやって舞殿に方角を記したり、あるいは季節を表したりして、神様を迎える態勢を整えます。単なるホールのステージではなく、神様を意識した舞台はみなさんにも神聖に感じられたことと思います。
そして伝説の始まりです。今回の注目、悪狐伝三部作より、まずは神幸神楽団「悪狐伝(前編)」。海を越えてやってきた金毛白面九尾の狐が、玉藻前となって宮中に入りこむも、陰陽師に見破られて、やむなく那須野ヶ原に飛び去るというあらすじ。おそらくファンのみなさんも、この演目をご覧になる機会はそう多くないのではないでしょうか。それだけに珍しい展開にみなさんグイグイ引き込まれたことと思います。大まかなあらすじだけでなく、「そんなこともあったのか!」というような、この演目ならではの見せ場が満載で、とても興味深く見ることができました。中でも中盤に登場した悪狐の衣装!よく見かけるモフモフ感たっぷりの着ぐるみではなく、見たことのないような柄の衣装でした。着ぐるみを見慣れている方は、ちょっと戸惑いを感じられたかもしれませんね。
続いてファンのみなさんにお馴染みの「悪狐伝」は琴庄神楽団による上演。お待ちかねの十念寺の和尚さんに加え、今回も「はっちゃん」が登場して息の合ったコンビネーションを見せてくださいました。この強力タッグの前には、日本三大悪妖怪に数えられる九尾の狐も歯が立たない様子…。まともに取り合ってはもらえません。この場面はいろんなアドリブが炸裂して、ファンのみなさんもさぞかし楽しまれたことでしょう!そんな空気がガラっと変わる後半、玉藻前が正体を現す場面はこの演目の見せ場の一つ。無念さを出しながら、静かな様子からだんだんと怒りに変わる辺りのセリフ、ゾクゾクしてきますね。そして正体を表した悪狐と、三浦介らの合戦。二人の神を相手に、ほぼ休むことなく大立ち回りを舞い切った狐さんに会場は拍手喝采でした。
そして三部作の締め括り、塩瀬神楽団「悪狐伝(最終編)」。三浦介らに退治された狐の怨念が、なんと殺生石という大岩となり、毒を放って災いをなしていました。これを聞いた玄翁(げんのう)和尚という人物が、法華経と法の槌によってこの石を壊し、ついに悪狐は完全に退治されるという物語です。狐も最後ならチャリも最後?ここでは飛脚の飛助(とびすけ)という役が登場し、しっかりと笑わせてくださいました。中でも持っていた弁当で悪狐を手なづけてしまうという芸当はお見事!なんとかサーカスもビックリです(笑)。しかし両者は決別し、とうとう飛助は狐の餌食となってしまうのでした…。後半はまた空気を変えて、玄翁和尚が登場します。これまた派手ではありませんが、法力という目に見えない力を持って、悪狐との最後の戦いに挑みます。実際には「目に見えないもの」はなかなか感じにくいものですが、こういう力は時に私達にとってすごく大事なものになるのかもしれません。
以上、前半の4演目のご紹介でした。「その2」で残りの3演目をご紹介します!
2011,07,20 Wed 22:17
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お邪魔します。
悪狐伝のトリビアを一つ。
玄翁和尚により砕かれた殺生石は、三つの欠片が全国のある共通の地名の場所に飛び散ったそうです。
場所には、諸説ありますが、その地名を“タカタ”と言うそうです。
そう、広島県の高田郡、、、現在の安芸高田市も、その一つといわれております。
悪狐伝のトリビアを一つ。
玄翁和尚により砕かれた殺生石は、三つの欠片が全国のある共通の地名の場所に飛び散ったそうです。
場所には、諸説ありますが、その地名を“タカタ”と言うそうです。
そう、広島県の高田郡、、、現在の安芸高田市も、その一つといわれております。
| 左門 | EMAIL | URL | 11/07/21 12:04 | Mv/qz7e2 |
7月17日、広島市のALSOKホール(旧郵便貯金ホール)で『神楽スペシャル・伝説の地を訪ねて』が開催されます。
今年で8回目の開催となり、毎回さまざまなテーマが設定されています。今年は『伝説の地を訪ねて』ということで、神楽の舞台となった場所が紹介され、「え、この場所が・・」「へぇ~」という感じで、神楽を普段見慣れている方にも新鮮に思え、また初めて見る方には深く入っていける機会になることでしょう。
今回の企画で注目したいのは、普段は独立して舞われることの多い「悪狐伝」シリーズ(前編・玉藻前、中編・悪狐伝、後編・殺生石)が一挙に上演されることですね。この演目はみなさんよくご存知の通り、世界を股に掛け悪事の限りを尽くした、金毛白面九尾の狐の物語です。
前編では、悪狐が美しい女性に化け、時の帝の寵愛を受けますが、陰陽師に正体を見破られてしまい、東の国へと逃れます。
中編では、逃れた悪狐が再び女性へと姿を変え、悪事をはたらいていましたが、勅命を受けた弓矢の名人に退治されます。また、十念寺の和尚、珍斉さんも神楽を盛り上げてくれることでしょう!
後編では、退治された悪狐の魂が大岩となり、近づく人や生き物の命を奪っていましたが、徳のあるお坊さんの鉄槌によって、粉砕され、その魂は封印されます。
この物語が一度に見れるという機会はなかなかないのではないでしょうか!?本当に大注目ですね。
またこの大会では、上演される神楽それぞれの物語の舞台となった地を、ステージに設置されたスクリーンで紹介されます。ほとんどの神楽大会では上演前のあらすじだけですが、それに映像を加えることによってみなさんに物語がよりわかりやすくなってのではないかと思います。このスクリーンの設置によって、さらに神楽が面白く感じるという効果もあることでしょう。また神楽の上演中には、映像がそのスクリーンに映し出されて、特にアップの映像などは、後ろや2階席のお客さんにもよく見えるようになっています。
この大会が、初めて神楽を見る方には、神楽を好きになるきっかけとなり、神楽ファンの方には、演目に秘められたものを知っていただける機会になっていただければ、幸いです。
今年で8回目の開催となり、毎回さまざまなテーマが設定されています。今年は『伝説の地を訪ねて』ということで、神楽の舞台となった場所が紹介され、「え、この場所が・・」「へぇ~」という感じで、神楽を普段見慣れている方にも新鮮に思え、また初めて見る方には深く入っていける機会になることでしょう。
今回の企画で注目したいのは、普段は独立して舞われることの多い「悪狐伝」シリーズ(前編・玉藻前、中編・悪狐伝、後編・殺生石)が一挙に上演されることですね。この演目はみなさんよくご存知の通り、世界を股に掛け悪事の限りを尽くした、金毛白面九尾の狐の物語です。
前編では、悪狐が美しい女性に化け、時の帝の寵愛を受けますが、陰陽師に正体を見破られてしまい、東の国へと逃れます。
中編では、逃れた悪狐が再び女性へと姿を変え、悪事をはたらいていましたが、勅命を受けた弓矢の名人に退治されます。また、十念寺の和尚、珍斉さんも神楽を盛り上げてくれることでしょう!
後編では、退治された悪狐の魂が大岩となり、近づく人や生き物の命を奪っていましたが、徳のあるお坊さんの鉄槌によって、粉砕され、その魂は封印されます。
この物語が一度に見れるという機会はなかなかないのではないでしょうか!?本当に大注目ですね。
またこの大会では、上演される神楽それぞれの物語の舞台となった地を、ステージに設置されたスクリーンで紹介されます。ほとんどの神楽大会では上演前のあらすじだけですが、それに映像を加えることによってみなさんに物語がよりわかりやすくなってのではないかと思います。このスクリーンの設置によって、さらに神楽が面白く感じるという効果もあることでしょう。また神楽の上演中には、映像がそのスクリーンに映し出されて、特にアップの映像などは、後ろや2階席のお客さんにもよく見えるようになっています。
この大会が、初めて神楽を見る方には、神楽を好きになるきっかけとなり、神楽ファンの方には、演目に秘められたものを知っていただける機会になっていただければ、幸いです。
2011,07,14 Thu 23:25
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