みなさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。さて新年最初の特派員報告は、1月3日の「グリーンアリーナ ニューイヤーイベント」です。お客さんも多く来られ、年初めから大賑わいのイベントでした。それでは報告です。
まずは中川戸神楽団「土蜘蛛」。源頼光の命を狙った葛城山の土蜘蛛ですが、逆に返り討ちに遭い、果てには四天王らによって退治されます。新舞の中でも人気の演目ですが、今回の上演で印象的だったのが、奏楽のみなさん。後に紹介もありましたが、高校生から二十歳という顔ぶれで、とってもフレッシュな印象でした。先輩方の舞を一生懸命盛り上げようとされてるのが伝わってきましたよ。神楽の醍醐味の一つである、舞と楽との一体感がしっかりと感じられました。
次は大塚神楽団「倭建命」。悲劇の英雄、ヤマトタケルの物語…のはずですが、兄ぎしと弟ぎしによる、「新春爆笑トーク」が繰り広げられました(笑)。攻めてくるヤマトタケルに対し、なんとかしようとする兄ぎし、なんだかやる気のない弟ぎし。兄ぎしに「シャンとせぇ!」と渇を入れられ、ようやくカッコよく決めたかと思いきや、「国を捨てて逃げよう」と退場しだす弟ぎし…。保育所からの付き合いだというお二人、息の合ったやり取りで会場を沸かせてくださいました。
次は上河内神楽団「悪狐伝・中編」。悪狐以上の人気を誇る?珍斉和尚さんの登場で、これまた大いに笑わせていただきました。たくさんのネタを披露したかと思えば、なんでもないセリフで噛んだりして、奏楽のみなさんも思わず吹き出してしまったり。もちろん共演者の玉藻前さんにも、いろんなちょっかいを出したりと大活躍。先ほどの大塚さんの上演では若いお二人でしたが、こちらはベテランのチャリの技でまたも大笑いの演目でした。
休憩を挟んだ後は中川戸神楽団「瀧夜叉姫」から始まりました。いつもながら、瀧夜叉姫の見事な変化に思わず見入ってしまいますね。会場からも変化のたびに「おぉ~」というどよめきがありました。もう一つの見どころが手下達との激しい合戦。5人の舞手さんによるその合戦は、まさに息つく暇もないほど。その中で、ヒラヒラと舞う煌びやかな衣装が目に焼きついて、さらに見ている側の興奮をあおってくれます。演出だけでなく、いろいろ見応えたっぷりの上演でした。
続いて大塚神楽団「道成寺」。ここでもチャリ役の船頭さんが登場し、またまた会場を笑いの渦に巻き込んでくださいました。なんでも船頭さんの住まれている大塚地域、今日も雪の降る中を来られたそうで、「街はぬくいね!」を連発。お客さんからビールの差し入れをもらったかと思えば、「つまみはないん?」と付け加えてみたり。しかしそんな船頭さんにも想定外の出来事が!安珍さんを乗せて船渡しの最中、なんと船が二つに分かれてしまうのです(笑)。ストーリー上、絶対に起こるはずのない珍事に、会場のみなさんも大笑いでした。
最後は上河内神楽団「紅葉狩」。人気演目であり、新舞の魅力がたくさん詰め込まれていますね。鬼女たちの華やかな舞はゆったりとして、物語の始まりを強調します。物語が進むにつれ、段々と舞が変化していきます。そして奏楽も重要な要素。特に場面と場面をつなぐわずかな間などは、奏楽の持っていき方で随分と印象が変わるのではないでしょうか。最後はエネルギーを全て出し切るかのような合戦。舞も楽も、限界までスピードアップし、見事な伝統の技を見せてくださいました。
さて毎年恒例の新春神楽から、今年も始まりました。どうぞ本年も「神楽のぶろぐ」をよろしくお願いします。
まずは中川戸神楽団「土蜘蛛」。源頼光の命を狙った葛城山の土蜘蛛ですが、逆に返り討ちに遭い、果てには四天王らによって退治されます。新舞の中でも人気の演目ですが、今回の上演で印象的だったのが、奏楽のみなさん。後に紹介もありましたが、高校生から二十歳という顔ぶれで、とってもフレッシュな印象でした。先輩方の舞を一生懸命盛り上げようとされてるのが伝わってきましたよ。神楽の醍醐味の一つである、舞と楽との一体感がしっかりと感じられました。
次は大塚神楽団「倭建命」。悲劇の英雄、ヤマトタケルの物語…のはずですが、兄ぎしと弟ぎしによる、「新春爆笑トーク」が繰り広げられました(笑)。攻めてくるヤマトタケルに対し、なんとかしようとする兄ぎし、なんだかやる気のない弟ぎし。兄ぎしに「シャンとせぇ!」と渇を入れられ、ようやくカッコよく決めたかと思いきや、「国を捨てて逃げよう」と退場しだす弟ぎし…。保育所からの付き合いだというお二人、息の合ったやり取りで会場を沸かせてくださいました。
次は上河内神楽団「悪狐伝・中編」。悪狐以上の人気を誇る?珍斉和尚さんの登場で、これまた大いに笑わせていただきました。たくさんのネタを披露したかと思えば、なんでもないセリフで噛んだりして、奏楽のみなさんも思わず吹き出してしまったり。もちろん共演者の玉藻前さんにも、いろんなちょっかいを出したりと大活躍。先ほどの大塚さんの上演では若いお二人でしたが、こちらはベテランのチャリの技でまたも大笑いの演目でした。
休憩を挟んだ後は中川戸神楽団「瀧夜叉姫」から始まりました。いつもながら、瀧夜叉姫の見事な変化に思わず見入ってしまいますね。会場からも変化のたびに「おぉ~」というどよめきがありました。もう一つの見どころが手下達との激しい合戦。5人の舞手さんによるその合戦は、まさに息つく暇もないほど。その中で、ヒラヒラと舞う煌びやかな衣装が目に焼きついて、さらに見ている側の興奮をあおってくれます。演出だけでなく、いろいろ見応えたっぷりの上演でした。
続いて大塚神楽団「道成寺」。ここでもチャリ役の船頭さんが登場し、またまた会場を笑いの渦に巻き込んでくださいました。なんでも船頭さんの住まれている大塚地域、今日も雪の降る中を来られたそうで、「街はぬくいね!」を連発。お客さんからビールの差し入れをもらったかと思えば、「つまみはないん?」と付け加えてみたり。しかしそんな船頭さんにも想定外の出来事が!安珍さんを乗せて船渡しの最中、なんと船が二つに分かれてしまうのです(笑)。ストーリー上、絶対に起こるはずのない珍事に、会場のみなさんも大笑いでした。
最後は上河内神楽団「紅葉狩」。人気演目であり、新舞の魅力がたくさん詰め込まれていますね。鬼女たちの華やかな舞はゆったりとして、物語の始まりを強調します。物語が進むにつれ、段々と舞が変化していきます。そして奏楽も重要な要素。特に場面と場面をつなぐわずかな間などは、奏楽の持っていき方で随分と印象が変わるのではないでしょうか。最後はエネルギーを全て出し切るかのような合戦。舞も楽も、限界までスピードアップし、見事な伝統の技を見せてくださいました。
さて毎年恒例の新春神楽から、今年も始まりました。どうぞ本年も「神楽のぶろぐ」をよろしくお願いします。
2012,01,03 Tue 20:08
新着コメント
先週の日曜日は、千代田開発センターで月一の舞いが開催されました。テーマは「神楽歴史物語-大江山への道-」ということで、昨年に引き続き月一では二回目の企画テーマでした。源頼光と四天王のお話や人気の高い酒呑童子伝説のお話。何度見てもまた見たい!そんなシリーズですね。それでは報告します。
高猿神楽団「山 姥」
源頼光四天王の一人、坂田金時誕生の物語です。頼光が東国凶賊征伐の勅命を受け、上路山(あげろやま)にさしかかったところ一夜の宿を借りることになります。しかし、その宿は山姥たちの住み家。夜更け、怪童丸が頼光たちに切り掛かろうとすると早々に合戦となります。見せ場では、山姥が一瞬にして恐ろしい鬼となる場面や頼光たちと怪童丸の見事な刀さばきなどがあり、客席からはたくさんの拍手が沸き起こっていました。そしてクライマックスの母と子の別れのシーン。肩を抱き合い、別れを惜しむ親子の様子に会場は一時しんみり。この時の場面は口上などはありませんでしたが、言葉なくても子を送り出す母の心境などが見てとれるようでした。
大森神楽団「戻橋」
そして舞台は京の都、一条戻り橋へ移ります。大森神楽団の「戻 橋」では、鬼退治の際、渡辺綱は安倍清明から「式神」を授かります。この式神が綱と茨木童子との合戦の時、大きなカギとなります。しかし、その前に茨木童子が化けた若い女の姿に皆さん目が釘付けだったことでしょう。夜な夜な戻り橋に現れる鬼、その正体が茨木童子。しかし、女に化けた茨木童子に道案内をしてほしいと言われ、綱はまんまと騙されてしまいます。それをあざ笑うかのように綱の背後で鬼の姿に戻る茨木童子は恐ろしかったですね。そして、 綱はどうにか茨木童子の正体を見破るものの、絶体絶命の危機に。しかし、ここで清明から授かった式神が力を貸してくれます。式神が登場するとそこから一気に形勢逆転。茨木童子は片腕を切り落とされ一時退散。そして物語は羅生門へと続きます。
山王神楽団「羅生門」
この演目では神楽団によって始まり方はさまざまですが、山王さんでは茨木童子が酒呑童子の所へ戻ってくる所から始まります。ここで印象的なのが、茨木童子は花道から女の姿で登場してくるところ。先ほどの戻り橋であった出来事が思い返されるような感じですね。また、この演目では茨木童子の腕を取り返すため、酒呑童子が大暴れします。一番の見せ所はやはり、面の早変わりでしょうか。怪しそうな姥から鬼に変わったかと思えば、綱の養母へと変化。そして、養母から恐ろしい鬼へと変わる姿は思わず「お見事!!」と言ってしまいそうでした。また、山王さんは今年一番この演目に力を入れていらっしゃるようで、酒呑童子と頼光の立ち合いのときでも、その思いがひしひし伝わってきました。
津浪神楽団 「大江山」
いよいよ、物語はクライマックスへと進みます。先ほどの三つの演目は八調子で艶やかで華やかな印象がありましたが、こちらの津浪さんの大江山は六調子。ゆっくりと落ち着いた感じの舞いや口上で、一つ一つ噛みしめながら神楽を拝見できました。また、酒呑童子と頼光との問答では、深みのある落ち着いた口上や絶妙な間などがあり、緊迫した空気というよりは、重みや奥深さが感じられる一場面となっていました。その中で酒呑童子の独特な「なぁにぃ、なぁにぃ?」という言いまわしには、なんだか真似がしたくなってしまいそうでしたね。そして、場面は酒呑童子と頼光の最終決戦と移ります。立ち合いでは、無数の蜘蛛の糸が飛び交い、頼光たちは酒呑童子の妖術に苦しめられます。しかし、住吉明神から授かった巻物で難を逃れ、激しい戦いの末ようやく酒呑童子を倒します。酒呑童子の首を持つ頼光さんたちは、とても誇らしそうでしたよ。
最後は津浪さんの童子さんたちと記念撮影会がありました。衣装を着させてもらう子供たちや童子さんたちと一緒に写真撮影など、最後まで盛り上がりました。
さて、今年の月一はこれでお終いとなりましたが、また来年も続きます。これからも月一の舞いをよろしくお願い致します。また、来年皆さんとお会いできることを楽しみにしています。
高猿神楽団「山 姥」
源頼光四天王の一人、坂田金時誕生の物語です。頼光が東国凶賊征伐の勅命を受け、上路山(あげろやま)にさしかかったところ一夜の宿を借りることになります。しかし、その宿は山姥たちの住み家。夜更け、怪童丸が頼光たちに切り掛かろうとすると早々に合戦となります。見せ場では、山姥が一瞬にして恐ろしい鬼となる場面や頼光たちと怪童丸の見事な刀さばきなどがあり、客席からはたくさんの拍手が沸き起こっていました。そしてクライマックスの母と子の別れのシーン。肩を抱き合い、別れを惜しむ親子の様子に会場は一時しんみり。この時の場面は口上などはありませんでしたが、言葉なくても子を送り出す母の心境などが見てとれるようでした。
大森神楽団「戻橋」
そして舞台は京の都、一条戻り橋へ移ります。大森神楽団の「戻 橋」では、鬼退治の際、渡辺綱は安倍清明から「式神」を授かります。この式神が綱と茨木童子との合戦の時、大きなカギとなります。しかし、その前に茨木童子が化けた若い女の姿に皆さん目が釘付けだったことでしょう。夜な夜な戻り橋に現れる鬼、その正体が茨木童子。しかし、女に化けた茨木童子に道案内をしてほしいと言われ、綱はまんまと騙されてしまいます。それをあざ笑うかのように綱の背後で鬼の姿に戻る茨木童子は恐ろしかったですね。そして、 綱はどうにか茨木童子の正体を見破るものの、絶体絶命の危機に。しかし、ここで清明から授かった式神が力を貸してくれます。式神が登場するとそこから一気に形勢逆転。茨木童子は片腕を切り落とされ一時退散。そして物語は羅生門へと続きます。
山王神楽団「羅生門」
この演目では神楽団によって始まり方はさまざまですが、山王さんでは茨木童子が酒呑童子の所へ戻ってくる所から始まります。ここで印象的なのが、茨木童子は花道から女の姿で登場してくるところ。先ほどの戻り橋であった出来事が思い返されるような感じですね。また、この演目では茨木童子の腕を取り返すため、酒呑童子が大暴れします。一番の見せ所はやはり、面の早変わりでしょうか。怪しそうな姥から鬼に変わったかと思えば、綱の養母へと変化。そして、養母から恐ろしい鬼へと変わる姿は思わず「お見事!!」と言ってしまいそうでした。また、山王さんは今年一番この演目に力を入れていらっしゃるようで、酒呑童子と頼光の立ち合いのときでも、その思いがひしひし伝わってきました。
津浪神楽団 「大江山」
いよいよ、物語はクライマックスへと進みます。先ほどの三つの演目は八調子で艶やかで華やかな印象がありましたが、こちらの津浪さんの大江山は六調子。ゆっくりと落ち着いた感じの舞いや口上で、一つ一つ噛みしめながら神楽を拝見できました。また、酒呑童子と頼光との問答では、深みのある落ち着いた口上や絶妙な間などがあり、緊迫した空気というよりは、重みや奥深さが感じられる一場面となっていました。その中で酒呑童子の独特な「なぁにぃ、なぁにぃ?」という言いまわしには、なんだか真似がしたくなってしまいそうでしたね。そして、場面は酒呑童子と頼光の最終決戦と移ります。立ち合いでは、無数の蜘蛛の糸が飛び交い、頼光たちは酒呑童子の妖術に苦しめられます。しかし、住吉明神から授かった巻物で難を逃れ、激しい戦いの末ようやく酒呑童子を倒します。酒呑童子の首を持つ頼光さんたちは、とても誇らしそうでしたよ。
最後は津浪さんの童子さんたちと記念撮影会がありました。衣装を着させてもらう子供たちや童子さんたちと一緒に写真撮影など、最後まで盛り上がりました。
さて、今年の月一はこれでお終いとなりましたが、また来年も続きます。これからも月一の舞いをよろしくお願い致します。また、来年皆さんとお会いできることを楽しみにしています。
2011,12,14 Wed 21:47
新着コメント
先週の日曜日、千代田開発センターで月一の舞い サンクス創業20周年特別企画「平成の神楽新時代-広島-」が開催されました。今回は地元、旧千代田町にあるショッピングセンターサンクスさんが20周年記念ということで特別企画での公演でした。今回もたくさんのお客様が足を運んでくださり、会場は大変賑わっていました。それでは報告です。
中川戸神楽団「板蓋宮」
スーパー神楽の原点であり、出発点ともなった中川戸さんの代表的演目。神楽ブームの火付け役の一つとなった演目とも言えるでしょう。物語は、大化の改新の前夜乙巳の変(いっしのへん)において蘇我入鹿が中大兄皇子、中臣鎌足に討たれるお話です。また、この演目というとたくさんの仕掛けが施されているのが特徴。蘇我入鹿の手下、郎女(いらつめ)と中大兄皇子、中臣鎌足が立ち合う場面では、衣装が一枚めくれると小さな紙吹雪が綺麗に舞い始めます。また、蘇我入鹿との立ち合いでは、会場が薄暗くなったかと思うとボウッと薄気味悪く入鹿の顔が光りだします。激しい立ち合いの最中でも、どこか美しさを感じさせてくれる演出となっていました。そのなかでも特に盛り上がったのが、蘇我入鹿の首が中大兄皇子たちを襲ってくる一場面。火を噴きながら勢いよく首が舞台に飛び出してくると、会場からは「ぎゃぁぁぁ!!」という大きな悲鳴とどよめきが。本当に生きているようで、こちらまで襲ってきそうでしたね。とても恐ろしかったです。
後野神楽社中「鏡山」
江戸時代の中ごろ浜田藩邸で起こった鏡山事件を基にした作品。浜田藩のお局である岩藤は、事あるごとに中老の尾上(おのえ)に嫌がらせをしていました。その果てに尾上は自害することとなります。自分のみならず、家名までも侮辱された尾上さんはさぞかし悔しかったことでしょう。舞台で、はらりはらりと落ちる紙吹雪の中、自害していく尾上の姿は切なさや儚さを感じさせます。そして、尾上の女中お初は主の仇討ちへと乗り出します。お初と岩藤との立ち合いの時には既に岩藤の顔は鬼の相へと変わっています。激しい戦いの末、お初は主の仇を討ちますが岩藤はそのまま昇天することなく怨霊と化し再びお初を襲ってきます。片方だけ白骨化した手をぶらりと垂らし、ゆっくりと動く様子は恐ろしさを感じます。また、お初の一太刀を浴び、傷つけられた顔の下からさらに白い骨の顔が出た時には一瞬ドキリ。あの目で見つめられると夢に出てきそうですね。
大塚神楽団「道成寺」
現在の和歌山県が舞台となる演目。僧・安珍に恋い焦がれ、どこまでも安珍を追いかける亡者と化してしまった清姫。恐ろしくも切ないこの物語は、日高川で大きな見せ場を迎えます。しかし、その前に安珍さんと船頭さんのコミカルなやり取りが始まります。清姫から逃げようと船頭さんに船渡しをお願いする安珍さん。しかし、「あんたぁTPPについてどがぁ思う?」「人にものを頼むときは…」などと船頭さんワールド全開です。これには安珍さんもタジタジ(笑)また、清姫さんの時にも容赦はありません。ぐいぐいくる船頭さんに清姫さんもタジタジ。終いには船頭さんの勢いに呑まれ、口上をも噛んでしまいました(笑)しかし、船を渡してもらえず遂には安珍に恋焦がれるあまり、清姫は大蛇となってしまいます。口から火を吹き、釣鐘ごと安珍を焼き殺していく姿はまさに壮絶。しかし、我に返った時に待っていたのは深い絶望感。最後は愛する人と共に西方浄土へと昇天していきますが、その様子にしばらくは切なく胸が締め付けられるようでした。
琴庄神楽団「厳島」
来年の大河ドラマとしても有名になりつつある平清盛のお話。今や世界遺産でもある厳島神社。そして宮島が、どのようにして築き上げられてきたのか。その厳島縁起と厳島神社の設立をこの演目で深く理解することができ、また、楽しめる内容となっています。後に厳島に鎮まる三女神が登場するところはドライアイスの効果もあり、天から舞い降りてくるような印象を受けました。また、清盛が再び太陽を呼び戻すところでは、扇子のひと仰ぎに渾身の力が籠っているようで見る側にも力が入ってしまいます。その渾身のひと仰ぎにゆっくりと日が昇るように会場が明るくなると、客席からは拍手が沸き起こっていました。そしてクライマックス、やはりもっとも印象的だったのは怨霊が登場する場面でしょうか。「きぃよぉ~もりぃ~」という低い声とともにスモークの中からユラリと現れる怨霊たち。あの世へ引きずり込もうと清盛に襲い掛かるところは恐ろしさと迫力で身体が硬直してしまいそうでした。
また、神楽上演後にはサンクスさんから神楽面や商品券が当たる抽選会が行われました。神楽の面では人の顔の何倍もありそうな、大きな鬼の面がプレゼントされていましたよ。面や商品券が当たられました皆さまおめでとうございます。
中川戸神楽団「板蓋宮」
スーパー神楽の原点であり、出発点ともなった中川戸さんの代表的演目。神楽ブームの火付け役の一つとなった演目とも言えるでしょう。物語は、大化の改新の前夜乙巳の変(いっしのへん)において蘇我入鹿が中大兄皇子、中臣鎌足に討たれるお話です。また、この演目というとたくさんの仕掛けが施されているのが特徴。蘇我入鹿の手下、郎女(いらつめ)と中大兄皇子、中臣鎌足が立ち合う場面では、衣装が一枚めくれると小さな紙吹雪が綺麗に舞い始めます。また、蘇我入鹿との立ち合いでは、会場が薄暗くなったかと思うとボウッと薄気味悪く入鹿の顔が光りだします。激しい立ち合いの最中でも、どこか美しさを感じさせてくれる演出となっていました。そのなかでも特に盛り上がったのが、蘇我入鹿の首が中大兄皇子たちを襲ってくる一場面。火を噴きながら勢いよく首が舞台に飛び出してくると、会場からは「ぎゃぁぁぁ!!」という大きな悲鳴とどよめきが。本当に生きているようで、こちらまで襲ってきそうでしたね。とても恐ろしかったです。
後野神楽社中「鏡山」
江戸時代の中ごろ浜田藩邸で起こった鏡山事件を基にした作品。浜田藩のお局である岩藤は、事あるごとに中老の尾上(おのえ)に嫌がらせをしていました。その果てに尾上は自害することとなります。自分のみならず、家名までも侮辱された尾上さんはさぞかし悔しかったことでしょう。舞台で、はらりはらりと落ちる紙吹雪の中、自害していく尾上の姿は切なさや儚さを感じさせます。そして、尾上の女中お初は主の仇討ちへと乗り出します。お初と岩藤との立ち合いの時には既に岩藤の顔は鬼の相へと変わっています。激しい戦いの末、お初は主の仇を討ちますが岩藤はそのまま昇天することなく怨霊と化し再びお初を襲ってきます。片方だけ白骨化した手をぶらりと垂らし、ゆっくりと動く様子は恐ろしさを感じます。また、お初の一太刀を浴び、傷つけられた顔の下からさらに白い骨の顔が出た時には一瞬ドキリ。あの目で見つめられると夢に出てきそうですね。
大塚神楽団「道成寺」
現在の和歌山県が舞台となる演目。僧・安珍に恋い焦がれ、どこまでも安珍を追いかける亡者と化してしまった清姫。恐ろしくも切ないこの物語は、日高川で大きな見せ場を迎えます。しかし、その前に安珍さんと船頭さんのコミカルなやり取りが始まります。清姫から逃げようと船頭さんに船渡しをお願いする安珍さん。しかし、「あんたぁTPPについてどがぁ思う?」「人にものを頼むときは…」などと船頭さんワールド全開です。これには安珍さんもタジタジ(笑)また、清姫さんの時にも容赦はありません。ぐいぐいくる船頭さんに清姫さんもタジタジ。終いには船頭さんの勢いに呑まれ、口上をも噛んでしまいました(笑)しかし、船を渡してもらえず遂には安珍に恋焦がれるあまり、清姫は大蛇となってしまいます。口から火を吹き、釣鐘ごと安珍を焼き殺していく姿はまさに壮絶。しかし、我に返った時に待っていたのは深い絶望感。最後は愛する人と共に西方浄土へと昇天していきますが、その様子にしばらくは切なく胸が締め付けられるようでした。
琴庄神楽団「厳島」
来年の大河ドラマとしても有名になりつつある平清盛のお話。今や世界遺産でもある厳島神社。そして宮島が、どのようにして築き上げられてきたのか。その厳島縁起と厳島神社の設立をこの演目で深く理解することができ、また、楽しめる内容となっています。後に厳島に鎮まる三女神が登場するところはドライアイスの効果もあり、天から舞い降りてくるような印象を受けました。また、清盛が再び太陽を呼び戻すところでは、扇子のひと仰ぎに渾身の力が籠っているようで見る側にも力が入ってしまいます。その渾身のひと仰ぎにゆっくりと日が昇るように会場が明るくなると、客席からは拍手が沸き起こっていました。そしてクライマックス、やはりもっとも印象的だったのは怨霊が登場する場面でしょうか。「きぃよぉ~もりぃ~」という低い声とともにスモークの中からユラリと現れる怨霊たち。あの世へ引きずり込もうと清盛に襲い掛かるところは恐ろしさと迫力で身体が硬直してしまいそうでした。
また、神楽上演後にはサンクスさんから神楽面や商品券が当たる抽選会が行われました。神楽の面では人の顔の何倍もありそうな、大きな鬼の面がプレゼントされていましたよ。面や商品券が当たられました皆さまおめでとうございます。
2011,11,22 Tue 19:20
新着コメント
9月24日、大阪市のイオン化粧品シアターBRAVA!において、「石見神楽・大阪公演」が開催されました。今回は浜田市の西村神楽社中さんの舞、そしてゲストに日本を代表する音楽家・福岡ユタカさん(浜田市出身)を迎えて、新たな試みも披露されました。大阪では、初となる石見神楽の自主公演とあって、関西に住まわれている島根県出身の方、また神楽ファンの方が多く訪れてらっしゃいました。今回の報告は、関西在住の特派員Wが当日の模様をお伝えします
「四神」
広島では、あまり舞われることのない演目ですが、石見神楽では、大切な儀式舞の一つです。石見神楽の中でもレベルの高い演目とされているようで、舞いを体全体で表現されていることが、観客の皆さんにも伝わったことでしょう。
「天神」
この演目・・まずは写真をご覧ください。対戦しているのは、みなさん御存じ菅原道真VS藤原時平です。刀と刀の距離が顔のすぐ近くということに気づかれましたか?そして、立ち合いのスピードの速いこと。当然お囃子も速いんですよ。そのスピードの中で一つの乱れなく演じられていて、練習は相当のものと想像できますね。
「塵輪」
こちらは、広島でもおなじみの演目・・ですが、鬼は女鬼(白)と男鬼(赤)の二人。ところ変われば出てくるものも違うということですね。神と鬼の2対2で、とても見ごたえのある立ち合いを披露されていました。『塵輪』というとどうしても鬼に注目が行ってしまいますが、個人的には、神も天皇の厳かな舞い、高麻呂のスピード感のある舞いというように違いも楽しみながら見ることができました。
「オタケビ神楽団」
こちらは、石見神楽と福岡ユタカさんをはじめとするミュージシャンの方とのコラボレーションで行われました。神楽と異文化との交わりということで、どうなるのかと見ていましたが、いざ始まると、福岡さんの歌詞がなく声だけで表現される独特のメロディと石見神楽の世界観がマッチしていました。コラボの中では、『黒塚』も演じられ、姫の妖艶な舞いがより一層深く感じられました。今回は、時間の関係上一部だけの上演でしたが、今度は全編を見てみたいですね。
「天の岩戸」
西村社中さんの『天の岩戸』では、他の団・社中さんではあまり出てこない「思兼命」が登場します。この思兼命、とても頭の良い神で「高天原の知恵袋」とも呼ばれるほどです。他の『天の岩戸』では、児屋根命・太玉命が中心となって、天照大神を岩戸から出てもらうように取り計らいますが、今回はこの思兼命が先頭に立ち、他の神々に指示を与えていました。
「恵比須」
大阪は昔から、「商人の町」とも呼ばれるほどの場所ですので、当然「恵比須」様とも切っても切れない縁があるようで、恵比須様が登場したときは、一際大きな拍手が起こりました。今回もたくさんの「福」を会場いっぱいに撒かれていました。
「大蛇」
今回のメインとも言えるでしょう。8頭の大蛇が舞台の袖から次々と現れると会場からもどよめきが起こりました。そして、大蛇と須佐之男命との戦いでは、大蛇たちの口から勢いよく火花が飛び、舞台の照明ともマッチして、大蛇の恐ろしさが一層アップしてました。
最後には、西村社中さん・福岡さんをはじめ、舞台に関わった方々が挨拶をされ、西村社中代表の日高さんが団員のみなさんを一人一人紹介されました。大阪の地で、石見神楽の醍醐味を十分に披露されて、会場の熱気も終わるころには最高潮でした。
そしてみなさん、石見神楽と大阪という土地が深くかかわっていることをご存じでしたか。今から、40年前、大阪では、日本初の万国博覧会が開催され、メインステージでは、日本の郷土芸能も多く演じられたようです。その一つに「石見神楽」がありました。石見神楽を世界の方々に知ってもらえるように、とりわけ人気演目であった『大蛇』では、当時1~2頭だった大蛇を「八岐大蛇」だから、8頭登場させ、会場の人々を驚かせたようです。この万博を機に、現在では大蛇の頭数が増えたのはもとより、動きも飛躍的に進化し、現在では、「石見神楽」は、日本のみならず世界にも知られるようになりました。広島でも、戦後の新舞の誕生・平成のスーパー神楽の誕生と着々と進化を遂げています。その中にあって、島根・広島と共通して言えることは、「今までのものを大切にしながら、新しいものを作り上げていく」という信念があったことと思います。神楽に対する思いは人それぞれにあると思いますが、ただ一つ言えるのは、神楽に関わる人(演じる人・見る人)すべてが「神楽」が好きということではないでしょうか。これから、本格的な神楽シーズンとなります。このぶろぐを読んで下さる皆さんもあちこちに見に行かれることでしょう。しっかり大好きな「神楽」を楽しんでくださいね。今回の報告は、特派員Wがお伝えしました。
「四神」
広島では、あまり舞われることのない演目ですが、石見神楽では、大切な儀式舞の一つです。石見神楽の中でもレベルの高い演目とされているようで、舞いを体全体で表現されていることが、観客の皆さんにも伝わったことでしょう。
「天神」
この演目・・まずは写真をご覧ください。対戦しているのは、みなさん御存じ菅原道真VS藤原時平です。刀と刀の距離が顔のすぐ近くということに気づかれましたか?そして、立ち合いのスピードの速いこと。当然お囃子も速いんですよ。そのスピードの中で一つの乱れなく演じられていて、練習は相当のものと想像できますね。
「塵輪」
こちらは、広島でもおなじみの演目・・ですが、鬼は女鬼(白)と男鬼(赤)の二人。ところ変われば出てくるものも違うということですね。神と鬼の2対2で、とても見ごたえのある立ち合いを披露されていました。『塵輪』というとどうしても鬼に注目が行ってしまいますが、個人的には、神も天皇の厳かな舞い、高麻呂のスピード感のある舞いというように違いも楽しみながら見ることができました。
「オタケビ神楽団」
こちらは、石見神楽と福岡ユタカさんをはじめとするミュージシャンの方とのコラボレーションで行われました。神楽と異文化との交わりということで、どうなるのかと見ていましたが、いざ始まると、福岡さんの歌詞がなく声だけで表現される独特のメロディと石見神楽の世界観がマッチしていました。コラボの中では、『黒塚』も演じられ、姫の妖艶な舞いがより一層深く感じられました。今回は、時間の関係上一部だけの上演でしたが、今度は全編を見てみたいですね。
「天の岩戸」
西村社中さんの『天の岩戸』では、他の団・社中さんではあまり出てこない「思兼命」が登場します。この思兼命、とても頭の良い神で「高天原の知恵袋」とも呼ばれるほどです。他の『天の岩戸』では、児屋根命・太玉命が中心となって、天照大神を岩戸から出てもらうように取り計らいますが、今回はこの思兼命が先頭に立ち、他の神々に指示を与えていました。
「恵比須」
大阪は昔から、「商人の町」とも呼ばれるほどの場所ですので、当然「恵比須」様とも切っても切れない縁があるようで、恵比須様が登場したときは、一際大きな拍手が起こりました。今回もたくさんの「福」を会場いっぱいに撒かれていました。
「大蛇」
今回のメインとも言えるでしょう。8頭の大蛇が舞台の袖から次々と現れると会場からもどよめきが起こりました。そして、大蛇と須佐之男命との戦いでは、大蛇たちの口から勢いよく火花が飛び、舞台の照明ともマッチして、大蛇の恐ろしさが一層アップしてました。
最後には、西村社中さん・福岡さんをはじめ、舞台に関わった方々が挨拶をされ、西村社中代表の日高さんが団員のみなさんを一人一人紹介されました。大阪の地で、石見神楽の醍醐味を十分に披露されて、会場の熱気も終わるころには最高潮でした。
そしてみなさん、石見神楽と大阪という土地が深くかかわっていることをご存じでしたか。今から、40年前、大阪では、日本初の万国博覧会が開催され、メインステージでは、日本の郷土芸能も多く演じられたようです。その一つに「石見神楽」がありました。石見神楽を世界の方々に知ってもらえるように、とりわけ人気演目であった『大蛇』では、当時1~2頭だった大蛇を「八岐大蛇」だから、8頭登場させ、会場の人々を驚かせたようです。この万博を機に、現在では大蛇の頭数が増えたのはもとより、動きも飛躍的に進化し、現在では、「石見神楽」は、日本のみならず世界にも知られるようになりました。広島でも、戦後の新舞の誕生・平成のスーパー神楽の誕生と着々と進化を遂げています。その中にあって、島根・広島と共通して言えることは、「今までのものを大切にしながら、新しいものを作り上げていく」という信念があったことと思います。神楽に対する思いは人それぞれにあると思いますが、ただ一つ言えるのは、神楽に関わる人(演じる人・見る人)すべてが「神楽」が好きということではないでしょうか。これから、本格的な神楽シーズンとなります。このぶろぐを読んで下さる皆さんもあちこちに見に行かれることでしょう。しっかり大好きな「神楽」を楽しんでくださいね。今回の報告は、特派員Wがお伝えしました。
2011,10,01 Sat 00:03
新着コメント
僕は浜田市石見神楽周布鳶巣神楽保存会団員です西村神楽社中の指導で頑張っておりますこれからもよろしくお願いします来年の周布川祭りは黒塚をやる予\定又は道がえしです
| こんにちわ | EMAIL | URL | 11/11/05 14:53 | W0LtDlZ. |
僕は浜田市石見神楽周布鳶巣神楽保存会団員です西村神楽社中の指導で頑張っておりますこれからもよろしくお願いします来年の周布川祭りは黒塚をやる予\定又は道がえしです
| こんにちわ | EMAIL | URL | 11/11/05 14:52 | W0LtDlZ. |
がんばれ
| ゆ | EMAIL | URL | 11/10/26 22:11 | mZq6GGkM |
がんばれ
| ゆっちー | EMAIL | URL | 11/10/26 22:07 | mZq6GGkM |
9月25日は呉市文化ホールで「RCC神楽呉公演」が行われました。上演前に司会の方からお話がありましたが、神楽の呉公演は5年ぶりで、その時もこの会場でした。当時はこの特派員報告もスタートしたばかりだったのですが、会場に着くとその頃を思い出して懐かしかったですね。それでは5演目の報告です。
まずは宮乃木神楽団「神迎え」。4人の舞手が登場し、それぞれ季節や方角などを表して舞います。舞手さんが順に舞殿をめぐる様子も、春から夏へ、夏から秋、そして冬へ…というような見方をすると、この演目ならではの楽しみ方にもなると思います。派手さはないかもしれませんが、演技や演出のない、言わばニュートラルの状態の素朴な舞がしっかりと味わえる上演でした。
続いては中川戸神楽団「瀧夜叉姫」。5年前、この会場で「板蓋宮」を上演された中川戸さん。クライマックスの入鹿の首が宙を舞う場面で、会場が揺れんばかりの大歓声が上がったことをよく覚えていますが、今回はどんな演出を見せてくれるのか、期待されていた方もおられたことでしょう。やはり面の早変わりでは会場が大きく沸きましたね。演出だけでなく、演技や奏楽でさらに場面が盛り上がるように、上手く流れを作っておられたように感じました。
次は宮乃木神楽団「紅葉狩」。見所はやはり変化自在の鬼女たちで、前半の優雅な舞、鬼女になっての激しい舞、そして鬼となっての迫力ある舞。しかし神の舞も見応えありでしたよ。鬼女征伐の勅命を受けた平維茂と相良蔵人の二人。ゆったりとして重みがありながらも、楽にのってリズムよく舞い進んで行く姿に、見ていてとても安定感を覚えました。前半のしっかりした舞を見ているからこそ、後半の激しい合戦がより見応えのあるものになると思います。
次は原田神楽団「土蜘蛛」。こちらも初めから終わりまで見応えのある舞でした。同じ神の舞も、源頼光とその家来である四天王たちの舞ぶりには違いが見られます。また四天王でも、最初の場面と、土蜘蛛を退治に向かう場面では違いがあります。ちょっとしたことですが、神楽がより面白く感じられる要素ですので、ぜひみなさんも注目してみてください。そしてこの演目と言えば、胡蝶が片足で歩く場面が見所。今回は舞台の端から端まで、さらにもう半周するというもので、これには大きな拍手が起こりました。
最後は山王神楽団「八岐大蛇」。さてこれまでは個人の舞や演出に注目してみましたが、この上演で特筆すべきは、舞台の使い方。八匹の大蛇が登場するこの演目ならではの見所です。左右の花道から登場する大蛇たちに、客席からはどよめきも。舞台いっぱいに暴れる大蛇の迫力に圧倒されましたね。その中でいわゆる舞殿のスペースにとらわれない、自由な空間の使い方で、真ん中だけでなくサイドにも上手く見せ場を展開されていたように見えました。大蛇を得意とされ、なおかつホールでの上演に慣れている山王さんならではの上演だったように思います。
以上5演目の紹介でした。さていよいよ本格的な神楽シーズンの到来ですね。みなさんしっかり楽しんでください!
まずは宮乃木神楽団「神迎え」。4人の舞手が登場し、それぞれ季節や方角などを表して舞います。舞手さんが順に舞殿をめぐる様子も、春から夏へ、夏から秋、そして冬へ…というような見方をすると、この演目ならではの楽しみ方にもなると思います。派手さはないかもしれませんが、演技や演出のない、言わばニュートラルの状態の素朴な舞がしっかりと味わえる上演でした。
続いては中川戸神楽団「瀧夜叉姫」。5年前、この会場で「板蓋宮」を上演された中川戸さん。クライマックスの入鹿の首が宙を舞う場面で、会場が揺れんばかりの大歓声が上がったことをよく覚えていますが、今回はどんな演出を見せてくれるのか、期待されていた方もおられたことでしょう。やはり面の早変わりでは会場が大きく沸きましたね。演出だけでなく、演技や奏楽でさらに場面が盛り上がるように、上手く流れを作っておられたように感じました。
次は宮乃木神楽団「紅葉狩」。見所はやはり変化自在の鬼女たちで、前半の優雅な舞、鬼女になっての激しい舞、そして鬼となっての迫力ある舞。しかし神の舞も見応えありでしたよ。鬼女征伐の勅命を受けた平維茂と相良蔵人の二人。ゆったりとして重みがありながらも、楽にのってリズムよく舞い進んで行く姿に、見ていてとても安定感を覚えました。前半のしっかりした舞を見ているからこそ、後半の激しい合戦がより見応えのあるものになると思います。
次は原田神楽団「土蜘蛛」。こちらも初めから終わりまで見応えのある舞でした。同じ神の舞も、源頼光とその家来である四天王たちの舞ぶりには違いが見られます。また四天王でも、最初の場面と、土蜘蛛を退治に向かう場面では違いがあります。ちょっとしたことですが、神楽がより面白く感じられる要素ですので、ぜひみなさんも注目してみてください。そしてこの演目と言えば、胡蝶が片足で歩く場面が見所。今回は舞台の端から端まで、さらにもう半周するというもので、これには大きな拍手が起こりました。
最後は山王神楽団「八岐大蛇」。さてこれまでは個人の舞や演出に注目してみましたが、この上演で特筆すべきは、舞台の使い方。八匹の大蛇が登場するこの演目ならではの見所です。左右の花道から登場する大蛇たちに、客席からはどよめきも。舞台いっぱいに暴れる大蛇の迫力に圧倒されましたね。その中でいわゆる舞殿のスペースにとらわれない、自由な空間の使い方で、真ん中だけでなくサイドにも上手く見せ場を展開されていたように見えました。大蛇を得意とされ、なおかつホールでの上演に慣れている山王さんならではの上演だったように思います。
以上5演目の紹介でした。さていよいよ本格的な神楽シーズンの到来ですね。みなさんしっかり楽しんでください!
2011,09,26 Mon 19:34
新着コメント
がんば
| ゆっちー | EMAIL | URL | 11/10/27 22:21 | mZq6GGkM |
神楽すきです
| ゆっちー | EMAIL | URL | 11/10/27 21:59 | mZq6GGkM |